LA TOURELLE

Le thé aux épices スパイスティー

2015年始まりました。今年も宜しくお願い致します。もっと頻繁にブログも更新できるように努めます。こればっか言ってる気もしますが・・・。

昨年後半からご提供しております、13種類のスパイスを使ったスパイスティー、お陰様でかなりの売れ行きです。素直に美味しいというよりは、驚きで迎えられる感じではありますが。養命酒みたいとか、体が温まりそう（実際温まります）、凄いインパクト、etc . . .

ですが、これは私のオリジナルではありません。人のアイデアをあたかも自分の発案のように繕うのは私は嫌いです。残念ながら、世界的にこの傾向は流行しています（料理学会というその殆どが名ばかりの、単なる「皆でアイデア共有の為のレシピ発表会」なのですが、実態は。私は実際に2006年のサン・セバスチャンの学会に行きましたのでよく解ります）。もちろん、お客様にはそのオリジナルが誰かなんて関係ありませんし、気にされている方も皆無だと思いますので、それは我々作る側の矜持として持ち合わせていればよいのです。

このスパイスティーは、スパイスの使い手として有名なブルターニュの元☆☆☆シェフ、オリビエ・ロランジェ氏が元祖です。そのレシピを日本で入手しやすいものでアレンジしたものです。と言っても、使っている原材料は殆ど同じです。ただ、やはりスパイスの鮮度が違いすぎますから、同じ香りや成分とはいきません。ですので、若干穏やかな香りに仕上がっているはずです。実は、スパイスの鮮度はかなりの差があります。業者の倉庫で数カ月は眠っていたであろう我々が入手可能はスパイスと、収穫日までが記載されたロランジェ氏が販売するスパイス・・・日本では香辛料の消費量がやはり少ないと思われますので、この差が埋まる日は永遠にやってくることはありません。

そもそも、日本ではスパイス自体が高価なものですから、食後のお茶として13種類も使うこと自体が経済的でないのは自明の理なのですが、どうしても一度やってみたく、その結果が予想外の売れ行きでして・・・追加料金を頂戴しているのにも関わらず。これは今後も継続します。

スパイスは最近の傾向である、シンプルに、素材の持ち味を活かした日本らしい皿　―― 私の皿はこのジャンルには属しませんが ――　とは、余り相性が良くありません。つまり、避けられる傾向にあります。素材の風味を覆ってしまう、生来の素材の持ち味を殺してしまう、素材、そざい、ソザイ ・ ・ ・ いつから料理人は 素材の案内人！? 何故こうもいとも簡単に同調圧力に屈するのでしょう。

素材をいかす という言葉のレトリックに翻弄され過ぎだと思うのは私だけでしょうか？？ 自分の頭で考え、悩み、苦慮しながら目の前の仕事をこなすのがプロフェッショナルの毎日の仕事だと思います。シンプルな思考パターンからはシンプルな皿しか生まれないのは当然の流れです。それが良い悪いと言っているのではありません。これは経緯の説明です。本質は常にシンプルというのは欺瞞です。シンプルではないからこそ、世界は混沌としているわけです。シンプルなら世界はもっとスッキリしているはずですよね（笑）。あれは広告代理店の釣り文句なわけです。

今の流れに逆らうようなスタイルのラ・トゥーエルの料理ですが、幸いにも多くのお客様にいらして頂いております。時にはやり過ぎてお叱りを受けることもありますが、今後も私のやりたいようにやります。それが今現在のベストだと思うからです。今後とも多くのお客様にお越し頂き、これまで以上に喜んで頂けますようスタッフ一同精進して参りますので、忌憚のないご意見・ご批判をお聞かせください。

最後の展開は表題のスパイスティーとは遠くかけ離れてしまいましたが（笑）、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

2月25日(水曜日) シャンパーニュワイン会開催のお知らせ

新年おめでとうございます

よき新春をお迎えのことと、お喜び申し上げます。

旧年中はひとかたならぬご厚誼を賜りまして、誠にありがとうございます。

本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

ソムリエの牛島です。

日頃ご愛顧頂いております皆様に、一足早く

シャンパーニュと料理のマリアージュ会のお知らせをさせて頂きます。

2月25日(水曜日)に、当店にて、山本シェフの真冬のお皿とシャンパーニュの

マリアージュをテーマにしたワイン会を開催致します。

ラ・トゥーエル山本料理長のフルコース料理と合わせまして、

堪能して頂けるようなアイテムを取り揃えております。

ワインはシャンパーニュがテーマです、今回は特に赤字覚悟の大放出で

当店で大事に寝かせているシャンパーニュを用意してお待ちしております。

乾杯から勿論、シャンパンでスタート致します。

また、ワインは、シャンパーニュを5種類以上、

秘密のアイテムを含めて6種類以上、バックビンテージからも特別なラインナップを

料理長　山本と相談しながらアイテムをこれから選定してまいります。

その日限りの特別な料理とワインのマリアージュを、

気軽に皆様とお話ししながらお楽しみいただけたらと思います。

【日時】

2月25日（水）19：00～21：30

※写真のアイテムは選定中のものですので、全て用意があるわけではございません。

ワインは、6種類以上を予定しております。

料理は、

アミューズ・冷たい前菜・温かい前菜・メインディッシュ・デザート・プティフール

の構成となっております。

【会費】税込サーヴィス料込　16000円

会費は当日会場にてお支払ください。

お任せコースとなりますので、食材のアレルギー・苦手食材ありましたら

ご予約時にお伝え下さい。

料理の用意の関係上、キャンセルの場合、お早目にご連絡ください。

ご予約はお電話・Email・Facebookにて承ります。

03-3267-2120

090-6719-9539(ソムリエ牛島)

Mail

tourelle@tourelle.jp

Facebook

https://www.facebook.com/gen.ushijima

宛にメッセージ下さい。

L'imitation de pomme りんごのイミテーションデセール

レストランのデザートは色々と難しいものです。特に、弊店のような小さな厨房のレストランでは。熱、保存場所、湿気、条件的には悪い事だらけです。

が！

そこを何とかやりくりするからこそ、工夫やアイデアが生まれ・・と言うか！そうしないと生き残れないという死活問題を日々克服することでしかやっていけないのが、街場の小さなお店なのです。街場のレストラン出身の料理人の方が先々伸びるのは、そういった条件下での毎日が、知らず知らずのうちに、料理業界をサバイブするためのスキルを磨いていってくれているのでしょう。

日本のレストランでは、食後のデザートに料理と同じレベルが求められることは、よほどの例外店を除けばありえません。そこそこ美味しければよい ―― というくらいです。残念ですが、それが現状です。食べログでも著名なブロガーさんであっても、デザートに言及している人は極わずかなのが何よりの証左です。個人的には極めて残念です。

需要がないから供給側も必然性を感じない。

至極当たり前の論理から、日本ではたとえグランメゾンであっても、シェフ・パティシエの地位も上がらず、そのポジションに就きたいと願う人も少ないままなのでしょう。当然、設備環境や待遇の悪さも合わせて。パティスリーを併設していれば話は変るようですが、それでもやっぱりなかなかどうして。

こんな状況であっても、やっぱり一工夫したデザートを作りたいものです。個人的に、かなり多くの日本のレストランで、料理には感激してもデザートでガックリ・・・(-_-;)・・このパターンで最終的な印象が悪くなったという苦い体験からくるものかもしれません。

終わりよければ全てよし。

レストランでの食事においては、何故このパターンにのっからないのか摩訶不思議。日本料理には食事の最中に砂糖が多用され、フランス料理には砂糖が使われないからと言われますが、実際は少し違っていますね。フランス料理では甘味の強いアルコールはよく使いますし、肉とフルーツという組み合わせもポピュラーです。

で、何が言いたいかと言うと、ラ・トゥーエルではデザートにもしっかり熱を注いでおります！という事です。特にディナーには、なかなか他店ではお目にかかれないトリッキーな皿を、必ずメニューが変わる度に組み込むようにしています。

写真の皿はリンゴの形を模したチュイル2枚で栗のムース・グラッセをサンド。周りに紅茶のエスプーマ、酸味の強いリンゴのソテーとフレッシュをリンゴジュースでジュレ寄せにしたもの、アーモンドのキャラメルがけ、マロン・グラッセ、ナスタチウムの花の糖衣がけ。

栗、リンゴ、紅茶の相性の良さに、ナスタチウムの花が時折香水のように“ ハッ ” と香るのがアクセントになります。チュイルのサクサク、キャラメルのカリカリ、エスプーマのふわふわ感、香りも食感もコントラストに富んだデザートになります。

仕込みから仕上げまで、更には提供のタイミングと客席に運ぶところまで、トータルで結構な手間がかかりますが、ここは譲れません。スタッフの協力のもと、最後まで一捻りのある、ここでしか食べられない皿を目指します。それはデザートにおいても変わりません。

Des fromages favoris de Tosiwo （27ans,célibataire） としをのお気に入りチーズ

ブログを更新した翌日のランチタイムで、とあるチーズ好きのお客様が私の一押し「牧草の恵」を試して下さいました。

やはり試食した私と同じようにその個性的な味わいを楽しんで頂けたように思います。このチーズは「一風変わった味わい」のポジションなのです。

間違いなく美味しいと感じるチーズとしてコンテ（写真にはございません）やモンドールを、濃厚で強烈な香りを放つチーズとしては個人的に一番好きなウォッシュのマンステールを、旬の時期とは少しズレておりますが、シェーヴルもキュッときめ細かく酸味のあるものをご用意致しております。後はここにブルーチーズを加えて、“Plateau de fromages ”の完成です。

ここまでいろいろとチーズにこだわれるのも、徒歩３分の距離にあるチーズ専門店『 アルパージュ 』さんのおかげです。私の曖昧な注文や、突然の要望にも快く応じて下さる心強いアルパージュスタッフの皆様です。世界中に数えきれないチーズがある中で私が食べたものはまだ100種類ほどです。これからもどんどん新しいチーズを食べてどんどん御紹介させて頂くつもりですので、ほどほどに（！？）お付き合いくださいませ。

デザートの前に、もしくはデザートの代わりに、としを（27・独身）セレクションのfromagesはいかがでしょうか？

かのブリア・サヴァランの名言、「チーズのない食卓は、片目のない美人の様なものだ」これを私なりに言わせて頂きますと、「チーズのない食卓は、笑いのとれない関西人の様なものだ」いかがでしょうか？以上、お笑い担当のとしを（27・独身）でした。

※ちなみに11月12日に27歳の誕生日を迎えました。

La chartreuse de perdreau ペルドローのシャルトリューズ

ジビエ、どこのお店でも始まっています。最近は獣害の問題から、フランス料理店で鹿や猪、熊を使ってもらおうという魂胆なのか？一般雑誌でまで “ ジビエ ” という専門用語が溢れかえっているようです。ジビエの炉端焼き店もあるご時世ですから、それだけ市民権を得たということなのでしょう。

ですが！！

やっぱりフランス料理店で食べるジビエが一番美味しいと思います。もちろん私個人の主観ではありますが、調理技法の幅の広さ、味のバリエーション、洗練されたプレゼンテーション・・・。歴史の蓄積が違います。当然と言えば当然ですが。

閑話休題、ジビエは個体差が家禽とは比べられないほど大きく、加熱には一層の注意が必要です。あっ、熟成ですか？私はやりません。腐敗と熟成の境界が素人には認識困難という立場を私はとります。ただ、新しすぎる場合にのみ、少しだけ寝かせて水分を抜いてあげます。それだけです。

そしてソースは必ず添えます。その素材から来る出汁をベースに、時にはアルコールや内臓、フォアグラを加えて。しっかり煮詰めて濃縮した香り高いソースです。焼きっぱなしでは決して美味しい素材だとは思っておりません、ジビエは。特に鹿は・・・やっぱりソースと甘酸っぱいニュアンスが不可欠です。Jus ジュ だけでは、かなりの物足りなさを感じます。

ここでは山鶉 ペルドローを使った皿をご紹介します。シャルトリューズという仕立てです。奥の人参とインゲンの円柱形のものです。中にはペルドローの腿肉と縮面キャベツをペルドローの出汁で煮たものを敷き詰め、上にはフォアグラの温かいフワフワのエスプーマで蓋をします。温かいフォアグラのエスプーマ？？　そうです、専門料理に出ていた(トラブル続出でたいへんだった・・・取材班の方々にも多大なご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした m(_ _)m) あれです　↓

ポワレにしたフォアグラはあまり好きではないというのが一番の理由ですが、エスプーマの方が俄然軽く、中に詰めたキャベツや腿肉、周りの野菜ともとても美味く馴染んでくれます。これがポワレだと、その個性でかき消されてしまいます。ここ、この皿の最大のポイントかもしれません。ほんの些細なことが大きな違いを産みだします。

胸肉はバターの中でゆっくりとにんにくと一緒にローストします。その下には内臓のペーストを塗ったタルティーヌ。野性的な香りとコクを、割と淡泊で繊細な胸肉に付加してくれます。Canapé ってやつですね。大きいですが（笑）。

基本的なシャルトリューズを Déconstruction してみました。一捻り、二捻りしたフランス料理と “ 戯れに ” に、神楽坂へ是非いらしてください！この料理はいつもあるわけではありませんが・・・。あしからず。でも雷鳥は大抵あります。