2013年 10月 25日
L'odeur , Le saveur , Le parfum , La fragrance , L'arome , La senteur |
表題の 「香り」 の訳語にあたる6つのフランス単語、ザッと思いつくだけでこの数です。「香り」 や 「匂い」 の2語で片付く日本語とは、所謂 『 香り 』 に対する認識の違いが、言語そのものに分かりやすく表れています。
ところで、写真のレモンタイムというハーブをご存知でしょうか? 街中のスーパーでも見かける “ タイム ” に、レモンの香りと色がついているものです。通常は販売しておりませんので、初めて耳にする方も多いかと思います。
ラ・トゥーエルでは、ハーブは料理の中で重要な位置を占めます。ミシェル・ブラスやマルク・ヴェラ以降、世界的な流行でもあるのですが、やはり日本ではその種類も多くはなく、なかなか一般に膾炙するまでには至っていないようです。
ではなぜそれでも “ 重要な位置を占める ” のかと言えば、料理に占める 『 香り 』 の要素が、フランス料理の場合はとても重要だからに他なりません。
目で楽しむ日本料理、味で楽しむ中国料理、香りで楽しむフランス料理。
実際はそのどれもが料理にとって大事な要素ではありますが、シンボリックにそれぞれの概要を表すとすれば、あながち間違いではないようです。
ですが、一口に “ 香り ” と言っても、いろいろなパターンがあります。素材そのものの香り、スパイスの香り、ワインの香り、ハーブの香り、油脂の香り、最近ではエル・ブジのように空気中にスプレーで香料を噴霧し、その食卓全体を森の香りで包むという手法もあります。
そのなかでのハーブの役割は、“ インパクトがありながらも後を引かない香り ” これにつきます。もちろん使い方にもよりけりではありますが、スパイスは尾を引く印象が残ります。ワインもそうですね。油脂は口中に広がり、長く留まりますので、より支配的なインパクトが強くなります(パスカル・バルボがソース替わりにオイルを多用するのも、ある意味合理的で頷けます)。
もしラ・トゥーエルで、一皿のどこかにハーブの香りを見つけたら、“ インパクトがありながらも後を引かない香り ” だったかどうか、思い出してみて下さい。こういう食べ方も、レストランを楽しむための一つの方法です。因みにこのレモンタイムを含む数種類のハーブ達は、弊店の入り口階段脇のプランターで皆様をお迎えしております。
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by latourelle
| 2013-10-25 17:29
| 料理