L'enchainement 繋ぐということ。 |

サッカー日本代表、残念でした。最後の最後で標榜し続けてきた攻撃サッカーの片鱗をみせてくれたような気もします。
が!!!!!
次の世代へ「繋ぐ」ためにも、ここはしっかり総括しなくてはいけないのです。そう、日本人があまり得意ではない総括です。エラソーだと思われるかもしれませんが、ここでは簡潔に私なりの総括を。
まず、この4年間は、本田と香川を中心にした攻撃型のチームを構築してきたことは周知の通りです。しかし、肝心要のこの二人の今シーズンもまた、周知の通りの低調でした。しかし、ザッケローニ監督としては、やや大袈裟に言えば、この二人と心中する覚悟でこのチームの編成をしてきたのでしょう、これだけ不調の香川に拘ったその姿勢に如実に表れています。
次に、「3点取られても4点取り返す」という、あくまで「取り返せる」という自信または大きな期待が大前提にあったのもまた事実でしょう。これは大会直前の某テレビ局の特番でも、選手間での最終的な話し合いで確認しあったとの告白から明白なことです。
ところが、この大前提が、この4年間積み上げてきたものを、あっという間に崩壊せしめた、いや、自壊をまねいた根本原因だと私は考えます。端的に、欧州や南米の列強相手に4点も奪えるのは何処の国を指して言っているのでしょう?しかも本気の彼等と戦ってきたのでしょうか?興行目的のしょーもない(キリン関係者の方々スミマセン)キリンカップ?コンフェデ?後者が最もそれに近かったから、あの散々な結果だったのは明白ですが、言えばそれのみです。
そもそも、弱者が強者に挑む時、「自分達のやりたい事、やれること、やらなきゃいけないこと」そのどれを最優先させればよいのでしょう?言うまでもなく、やらなきゃいけないことです。それを「3点とられても4点取り返す」という、根拠なしの自信と期待(これはやりたい事ですね)、これを最優先にさせたがための、自業自得とでも言える崩壊を招いたのだと結論付けてもよいでしょう。
憶測の域を出ませんが、今回最も戦っていた一人、内田選手が代表引退を示唆しましたが、彼の胸の内は察するに難くありません。彼はディフェンスの選手で、しかも、数少ない欧州のトップクラブでレギュラーを張っています。リベリやロッベンといった、個の力で試合を決定づけるスーパーな選手と日頃から戦っているわけです。
実は彼のインタビューの受け答えの端々には、まごうことない本心が散りばめられていました。何度もです。DECONSTRUCTIONしてみましょう。
『 攻撃攻撃というけど、強い相手とやる時は先ず守備から入るものじゃないのか?どう考えても押し込まれる時間帯が増えるわけだし、数的有利を常に作りださないと、個人技では明らかに劣るわけだから。前掛かりに攻めて、カウンター喰らって、耐えに耐え忍んで、体力の限界が近づく後半足に来た時、一体誰がロッベンやリベリみたいな怪物級の選手のケアすんの?負けるリスクを軽減させることが、強豪国を相手にする時のファーストチョイスだろ 』
もちろん私の勝手な妄想ですが、あながち間違ってもいないと、エラソーに自負してます。ディフェンスの選手の内心はこんなもんだろうと・・・。
でも、これは「勝ち」に拘るのなら、完全に正解だと思いますね。『 理想のサッカー追求大会 』 なら話は別ですが。
リスクを背負ってでも前に行く時、そうじゃない時、ラインをあげてコンパクトにボールハンティングに行く時、リトリートして跳ね返した後のカウンターを狙う時、それぞれの状況にあっても、先ずは失点を防ぐことを大前提にしたタクティクスありきだと、今回改めて感じました。
2006年のドイツワールドカップ、フランス対スイスの試合の中盤で、あのジダンとディフェンスの要であったテュラムが激しい口論になりました。見ていた人も多かったのではないでしょうか?ジダンが手を激しく叩いてテュラムにつっかかっていました。そこにギャラスが仲裁に割って入るという場面。後日内容が明らかになりました。
ラインをあげてボールを早く前線によこせと詰め寄るジダンに対して、テュラムはこう言いました。
「これだけ暑い中走り回って、ラインをあげて裏をとられたら、アタッカーに追いつけない可能性がある。しかも初戦からそんなリスクを冒す必要はない」
さすがは歴代最強のディフェンダーと謳われた人物の明晰な判断、これはジダンの負け。テュラムの正解。昼間の炎天下の初戦、走り回って疲れ切った状況でラインをあげるリスクはない。お陰で平々凡々な試合で、メディアにはこっぴどく叩かれましたが(笑)。
しかし、その後のフランスは圧倒的な守備力をベースに勝ち進んでいきました。ジダン、アンリ、トレゼゲ、若かりし22歳のリベリ、マルダ、ヴィエラ、当時世界最高のタレントを擁していながらも、強さのベースは守備にあったと、その攻撃陣が認めていた事実です。ただ引いて跳ね返す、ジダンの天才に頼るだけじゃなかった。
今後の日本代表も、攻撃重視の姿勢もいいのですが、堅い守備なくしては勝てない。不安定な試合を続けるアルゼンチンが優勝からは程遠いのを見ればよく解ります。はい、いくらメッシがいても、これだけ守備が弱ければ、決勝トーナメントでは早々に姿を消すでしょう。間違いない。
逆にそれに気付いたファン・ハールのオランダが面白い。
結論。 点を取りあうスポーツ全般、点をとるより、点をやらない方が勝率はいい。先ずは堅い守備ありきのサッカーを文化として根付かせるべし! 190センチの俊敏で小器用なセンターバックを! フランス代表のヴァランみたいな。それから長距離砲が撃てて、フィジカルが強く、機動力のあるボランチ。フランス代表のポグバみたいな。
ん?? フランス、実はポテンシャル高いぞ ・・・。ヴィエラ=ポグバ、テュラム=ヴァラン、そしてジダン=ベンゼマに少しでも近づいてくれれば、ドイツを破ってベスト8はいけそうだ。
ALLEZ LES BLEUS !!