2014年 06月 18日
Le chocolat ショコラ |
今のメニューでお出ししているショコラのデザートです。ベルガモットミントの芳香と、量を間違わなければという前提付きですが、意外なほど合います。もともと柑橘類とショコラの相性の良さは知られてはいるものの、このベルガモットミントの香りはかなり個性的で鮮烈です。
周りのチュイルは穴を空けて中身がチラチラ見える様にデザインしています。これは、完全なデザインからの発想です。上の蓋の部分もめくり上げて金箔で装飾し、色のコントラストを狙っています。中のムース状のショコラは、メレンゲの入ったフワフワしたものではなく、ねっとり滑らかに、ショコラの乳化の凝固力を利用した “ qunelle クネル ” と称しています。フットボール上に模ったものをそう言うからという単純な発想ですね。
そのクネルに少しだけタイムとローズマリーの香りを添えてあるのは、使用したヴァローナの “ ニアンボ ” というショコラの土のような香りからのイメージ。クリームも少量しか入っておりませんので、ショコラの個性がドーーーンと出ています。2種のハーブはあくまで香りの補強という役割ですね。
ソルベは同じくベルガモットミントで。美生柑とベルガモットミントの葉を小さくちぎって砂糖とレモン風味のオリーブオイルで和えた甘いサラダと、葉のままを砂糖漬けにしたクリスタリゼ。この4つのパーツからなるデセールですが、あくまで狙いは “ ショコラとベルガモットミント ” であるのは変わりません。
デザートは、甘味7割、酸味3割から成る “ 料理 ” だと捉えておりますので、料理の様に複雑には構成しません。味も香りもぼやけやすいからです。勿論シンプルに仕立てることもありますが、ショコラを複雑に組み立てる知識も技量もないところからの出発です。
因みにショコラに関しては、自分の中のベストがあります。
カカオ分の濃いチョコレート ジャン・ポール・エヴァンの「グアヤキル」
ミルクチョコレート ピエール・エルメの「プレジール・シュクレ」
ホワイトチョコレート 広尾のアレグレスの「ネヴァ」
チョコレートと柑橘 パリセヴェイユの「ムッシュ・アルノー」
遠く及ばないまでも、イメージは必ずします。イメージに近づけていく作業は、全ての源です。そのイメージの数が多ければ多いほど、語彙が豊富であればあるほど、世界は広がっていきます。それまで見えなかった部分が見えてきて、自分の中の universe は更に拡がります。
人は自分が知っていることしか理解できない。ニーチェだったかな??
知らなければ、理解への契機すらつかめないという事です。それからもう一つ、勉強には時間とお金が必要です。これもまた事実。
食べて読んで、作って読んで、また食べて読んで作って読んで・・・料理人は大変だ。
by latourelle
| 2014-06-18 21:40
| デザート&チーズ