2014年 05月 08日
Les meilleurs restaurants 50 ワールド・ベスト・レストラン 50 |
オマール、フルーツトマト、日向夏のグリエ、フヌイユのブレゼとムース、牡蠣のグルグル(アガーで固めたゼリー状のもの)、飾りのハーブ類にカモミールの花。ポイントは牡蠣の香りとカモミール。どちらも程よい量が肝要です。所々にヨードの香りが漂い、たまにカモミールの鮮烈な香が抜けていく・・・というイメージで組み立てます。
どーーん!と香ったり、寡占的になっては、一皿における 『 香り 』 というのは意味をなさないんですね。所々、強弱のある香り方に意味がある。そういう構成を日々考えています。
モノトーンでは終わらせない。素材に頼らない。
もちろん無理なく、一皿の料理として自然に存立している・・・と思います(笑)。因みにお皿全体は ↓ こういう風景です。
で、ここから表題へ。
早速個人的な結論から。情報として、コンテンツとしての利用価値は十分にあり。ランク付けの信憑性を問うのはナンセンス。あくまでイチ情報の一環として扱うのが適切な代物。キャピタリズムが生みだすニューフロンティア。
上位ランクを占めるお店の中には、実際に行ったことのあるお店もチラホラ散見されますが、特に印象に残っているのがカン・ロカ。ここは本当に個人的にもワールドベスト5に入るほど素晴らしかった!ただ、スペインのレストラン全般、デザートとパン、メインの肉料理が少し弱いのが難点。カン・ロカも肉料理とパンが、他の皿が図抜けて素晴らしかったというのもあり、多少見劣りしてしまった。
しかもこのランキング、前年上位のお店があっという間に下位の方へ転落するという現象が頻繁に起こります。然るに、このランク自体には実質的な意味は殆どないわけです。
別途、新たな価値が生まれることによって、そこにこれまで存在しなかった富みが発生する(ニューフロンティア)のならば良い事ではないか。現に NOMAに代表される北欧の新たなムーブメントにより、追随するレストラン周辺の出版、ホテル、農水産業、etc . . . 儲かるのであれば万々歳です。これには天邪鬼の私も無条件で賛成します。たった500万人の人口の国にこれほどの世界的注目が集まる、それも料理が主役!!素晴らしい!!
翻ってフランスはどうでしょう? もう王座から転落? 果たしてそうでしょうか? 一つ間違いなく言えることは、フランスの場合は、それ自体が基軸というか、評価基準の中心に位置している『宿痾』とでもいうべきハンディを背負っているということ。
フランスは “ 凄くて当たり前 ” なのです。ロブション、ブラス、デュカス、ガニェール、パッサール、ヴェラ、これ程までにキラ星の如く卓越した料理人が絶え間なく現れる国はフランスだけです。若い世代も続いていますね・・・豪華メンバーが。
そしてアジアに目を向けると、ニッポンのようにフランス料理に負けないくらいの料理の歴史と技術の集・蓄積がある国は、フランスを除いて他にはなく、その点でも我々日本人は難しい立場にいます。中国料理もそうです。自国の料理とのミックスと言うのが色んな意味で難しい。
端的に言うと、『フランス料理の方法論で自国のアイデンティティーを表現する』 際、あまりに日本料理や中国料理は確立度合いが強すぎて、アレンジするのが難しい。完成度が高いがゆえに、アレンジは難しい。日本のフランス料理店で、魚を生でお出しするのにある種の勇気が必要なのはそのためです。イタリアンはカルパッチョで許されますが、何故かフランス料理に対しては鋭い批判の矛先が向けられます(笑)。この点は福田和也氏も指摘しておりますが、本当に何故でしょう??
続きはまた後日。
by latourelle
| 2014-05-08 15:55
| 料理