2013年 10月 29日
Pâté encroûte パテ・アンクルート |

ジビエシーズン真っ盛り(どの店もそればっかり・苦笑)。フランス料理のシンボリックな前菜の一皿というか、料理人の力量を測るに相応しい難易度の高い料理でもあります。とは言え、今や廃れつつあり ・ ・ ・ いや、そうはさせじとこの時期にはたまに作る “ This is フランス料理 ” です。
ジビエ数種類、フォアグラ、ピスタチオ、ジビエのコンソメ、パート(生地)、今も昔も材料に大差はなく、作り方すらもなかなか変え難い。と言うか、そこはもう変えられない。だから火入れが最大のポイントに自ずとなってしまうのです。
個人的にトリュフはいい状態でパテと一緒に食べて頂きたいので、敢えてファルスには加えず、後付けにしています。肉にトリュフの香りが移るのも醍醐味の一つだとは思いますが、やはり時間の経過と共に著しく香りが損なわれていくのが惜しく ・ ・ ・。
それから日本とフランスでは、このてのパテ・アンクルートの決定的な違いがあります。それはパートの部分の “ 焼き込み ” の違いです。日本はやっぱり肉のジューシーな火入れに拘りがあるからか、パートの内側が特に火が入りきらずに粉っぽかったり、全体的な焼き色も薄く、フランスで見かけることはまず無いであろう外観である場合も散見されます。
翻り本家フランスでは、肉のしっとり感よりも、パートにしっかりと火を入れることに主眼が置かれているのでしょう、きっちり焼き込んである場合が殆どでした。これは一流店でもスーパーのお惣菜コーナーでも一貫しています。
私の場合は、写真のままに、パートにはしっかり火を入れますが、当然肉の部分にも最大限の注意を払います。ですが、どちらにプライオリティーを置くかと言えば、肉よりもパ-トの火入れです。肉をしっとりあげるのなら真空調理が最適でしょう。肉と一緒にザクザクのパートを食べてこその美味しさに拘りたいからです。
辻静雄氏は、「パートの部分は、云わば “おかず” に対する “ごはん” の様なもの。だからしっかり火が入っていることが大前提だ」 と。私も賛同します。ですので、肉がしっとりあがっても、あくまでしっかり焼けたパートあってのものだと思っています。多少肉の部分に火が入り過ぎていたとしても。肉汁を吸ったパートもすこぶる美味ですし。
とは言え、どちらの可能性も有りです。どちらも正解です。あとは好みの問題です。一つのコースで少量の皿を多く食べると、それぞれの印象は薄まりますが、こういった皿は特に印象深く残ります。それは量の問題もありますが、やはり綿々と紡がれてきた歴史の重みが詰まった料理の底力だと思っています。
ただ、非常に手のかかる料理ですので、ご用意が出来ましたらまたこのブログで告知致します。
是非 『 フランス料理 』 を味わってみて下さい。いつになるかは ・ ・ ・ ・??・ ・ ・その点だけはあしからず。
by latourelle
| 2013-10-29 18:10
| 料理